戦争防止のためにサッカーができることを考える(松村卓朗)

【サッカーから学ぶ組織開発・人材開発:松村卓朗】
第53回:ナショナリズムを煽る存在のサッカーを通じて、戦争防止のためにできることを考える~『ぼくたちは戦場で育った ~サラエボ1992─1995~』の翻訳本出版イベントに参加して~

先日、JEN(国際緊急支援の特定非営利法人)の代表の木山啓子さんに誘っていただき、『ぼくたちは戦場で育った(集英社)』という本の日本語翻訳版の出版記念イベントに行ってきた。

「サッカー好きが集まるよ」という触れ込みに釣られて(実際、イベントの後の飲み会で一緒したら、著者も翻訳者も大のサッカー好きだった)、私はよく分からないまま参加したのだが、色々と衝撃を受けて帰ってきた。

この本は、第二次世界大戦後のヨーロッパにおける最悪の戦争と呼ばれたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の終結から20年が経ち、今や30代前後の年齢になっている戦時下のサラエボ育ちの人々から160字以内で体験談を募り、一冊にまとめたものだ。例えば以下のような体験談が並ぶ。 続きを読む

【サッカーから学ぶ組織開発・人材開発:松村卓朗】第52回:サッカーはNPOも国家権力も越えて、もっと世界の社会問題解決に貢献できる ~FIFAコンサルタント・杉原氏とFIFA紛争解決室仲裁人・山崎氏とのセッション(予告編)~

昨年末から今年にかけて、2人の“グローバルなサッカー人”との出会いがあった。2人とも現在FIFA(国際サッカー連盟)に携わっている人で、世界のサッカーの環境づくりをリードしている人と言っても過言ではないだろう。
1人は杉原海太さん。現在東京の下町に住みながら、世界に10人しかいないFIFAコンサルタントとして世界を舞台に活躍している。元日本代表キャプテンの宮本恒靖さんが留学したことで有名になったFIFAマスター(スイスにある大学院)を、10年前に卒業した。その後マレーシアに本部のあるアジアサッカー連盟での職を経て、現在は、スイスのFIFAに所属している。本部から依頼の電話がかかって来ては、世界中の各国のサッカー協会に出向き、その国のマーケティング戦略の立案や、オペレーションプロセスの効率化などの案件を引き受けているという。
ご本人によれば、33歳でFIFAマスターに留学するまで日本から一歩も出たことがなく、英語も話せなかったらしいので、典型的な日本人が目指すべきグローバルリーダーの姿としても、モデルとして大変に参考になる興味深い経歴をお持ちの方だ。
続きを読む

【サッカーから学ぶ組織開発・人材開発:松村卓朗】第51回:Jリーグの名将2人に学ぶリーダーシップ ~サンフレッチェ広島・森保監督とガンバ大阪・長谷川監督へのインタビュー~

先日、「富士ゼロックススーパーカップ」の企画で、2人のJリーグの監督にインタビューをさせていただいた。2人の監督というのは、現在のJリーグを代表する名将と言うべきだろう、サンフレッチェ広島の森保一監督と、ガンバ大阪の長谷川健太監督だ。

「富士ゼロックススーパーカップ」というのは、Jリーグファンの方々はご承知おきと思うが、そうでない方々のために説明をすると、Jリーグの開幕に先立ち行われる、昨年度の“Jリーグの優勝チーム”と昨年度の“天皇杯の優勝チーム”が戦うカップ戦だ。日本でたった2つの頂点を極めたプロチームだけが出場できる大会であり、そして、今シーズンの幕開けを告げる大会だ。この大会が終わると、いよいよJリーグが始まる。 続きを読む

【サッカーから学ぶ組織開発・人材開発:松村卓朗】第50回タイのサッカーに再挑戦する日本人選手~元日本代表岩政選手がタイでのプレイを選択した理由~

matsu_seminar先日タイ・バンコクを訪れた。タイを拠点にしている日本企業のマネジメントの皆さんに、「タイでのハイパフォーマンスなチーム作り」のセミナーを行うためだ。
タイには現在、7000を超える日系企業が拠点を置いており、バンコクには世界の首都中で最多の日本人が住むと言われる。タイという国は、相当な親日国であり、親日という言葉では表しきれないほどに「日本」が自然に浸透している国でもある。 続きを読む

【サッカーから学ぶ組織開発・人材開発:松村卓朗】第49 回障碍者スポーツがスポーツになるには~ラグビーから考えるダイバーシティ・マネジメント~

matsu_seminar先日のW杯で日本代表が大活躍し、世間の注目を集めた。ラグビーのことだ。私もテレビに釘付けになって見た。世間の話題は、しばらくラグビーにさらわれた。残念ながら決勝トーナメントには進めなかったが、大きな印象を残した。とりわけ南アフリカを破った試合は、すべてのスポーツの歴史における最大のアップセットだとまで言われていると聞く。これまでのW杯で最も勝率の高いチームを、これまでのW杯で1勝しか挙げたことのないチームが破ったのだ。 続きを読む

【サッカーから学ぶ組織開発・人材開発:松村卓朗】第48 回サッカーを通じて見えるシリアの難民問題~間もなく迎えるW杯アジア予選の対シリア戦を前に考える~

matsu_seminar先日、ハンガリーの女性が、セルビアとの国境を超えて押し寄せる難民にわざと足をかけて転ばせる映像がニュースで流された。テレビのニュースで映像が繰り返し流されていたので、記憶に新しい方も多いと思う。この女性TVジャーナリストの非道な行動には世界から批判が集まったと聞く。
この映像で転ばされているシリアの男性がこのほど、スペインでサッカーコーチの職を得たということを耳にした。このシリアの男性はモフセンさんといい、シリア1部リーグの強豪アル・フトワを率いていた指揮官だったことが判明したらしい。つまり、サッカーのプロクラブの監督だったということだ。(出所:Soccer King 2015年9月17日号) 続きを読む

【サッカーから学ぶ組織開発・人材開発:松村卓朗】第47 回経営者としての本田圭佑選手~現役選手でありながら欧州のクラブ運営事業に乗り出す理由は~

matsu_seminarつい先日、日本代表の本田圭佑選手が、オーストリア3部のSVホルンというチームを買収し、実質的なオーナーとして経営参入した。サッカーファンにとっては本田選手のプレイヤーとして以外の動向には興味のない話だろうし、サッカーファン以外には、そもそもこのニュースは馴染みのないものだろう。しかし、多くのビジネスパーソンにとっては、サッカー選手としての本田圭佑よりも、彼がどのような経営哲学を持っているのか、あるいは組織をどのように運営しようとしているのか、といったことの方がむしろ大いに参考になるのではないかと考えた。何より、私自身が参考にしたいと思うので、経営者としての本田圭佑を少し調べてみることにした。 続きを読む