【ジャンゴのちょっといい話:田岡純一】ATD2016速報:リーダーの仕事はメンバー全員が安心、安全だと思える環境を創ること

(編集者からのお知らせ)
田岡純一氏によるATD2016報告会が6月28日(火)に開催されます。
詳細・お申し込みはこちらから。

今回は5月22日~25日の4日間に渡りアメリカのデンバーで開催されたATDのICE(インターナショナルカンファレンス&エクスポジション)から、基調講演で登場したサイモン・シネック氏の講演内容を紹介したいと思います。

サイモン・シネック氏はベストセラー作家で著書に『Start With Why: How Great Leaders Inspire Everyone to Take Action(邦題:WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う)』『Leaders Eat Last: Why Some Teams Pull Together and Others Don’t(邦題:リーダーは最後に食べなさい! ―最強チームをつくる絶対法則)』があります。またTED-Talkでは視聴回数でベスト3に入っています。

サイモン・シネック氏の講演は5万年前のホモサピエンスの時代にさかのぼりつつ、求められるリーダーシップについて語られました。

結論から言うと、リーダーの仕事はメンバー全員が安心、安全だと思える環境を創ること。
ホモサピエンス時代も周りの環境は厳しく、常に外敵に囲まれた中で生活していました。その中で当時のリーダー達は協力と信頼を築き上げることで安心で安全な環境をつくることに努めてきました。今の時代もVUCA の時代と言われる通り、環境は厳しく変化も激しい。
そんな中メンバー達が自分らしく活き活きとその力や才能を発揮するには、今の時代も同様に安全で安心な環境が担保されているかどうかに影響される点を強調。
具体例として、「フォーシンズホテルのマネージャー達は、スタッフに常に関心を向けながら日々声をかけてくれる」一方「シーザーパレスはスタッフがミスを犯したときだけ言いにくる」。
この差がパフォーマンスの差になって現れています。
安全で安心な環境は人にポジティブな感情を生み出し、主体的で発想力豊かに行動を起こす機会を与えてくれます。一方恐れがあり、安全でないと感じてしまうと人は自己防衛に力を注いでしまいます。発想力は乏しくなり保守的で、自己保身の意識が高まってしまいます。

安全で安心な環境において、人はポジティブな感情を生み出す4つの脳内物質を生成するとのこと。
4つの物質とは、エンドルフィン、ドーパミン、セラトニン、オキシトシン。

・エンドルフィンはモルヒネの6.5倍の鎮痛作用があると言われるほど鎮痛効果が高い。目的に向かって夢中になって取り組んでいる時、マラソンランナーがゴールを目指して走るときに生じるランナーズハイの状況が生まれる。しかしその目的が達成されると一気に疲れがでたり痛みが生じたりする。

・ドーパミンは目標を達成した時に生み出され高揚感につながる。TO DO LISTを消すときにもその効果を感じることがでる。やる気の分子とも言われ、動機づけ、集中力アップ等の効果が期待される反面、インセンティブ的なご褒美を与えすぎてしまうと自己中心的になったり、中毒症状に陥るリスクもあるので注意が必要。

・セロトニンは、表彰式など皆が祝ってくれる中で、自分自身の価値を感じたり、誇りを感じたりすることで生み出される。この感覚が欠乏すると不安が高まり、ひどい場合はうつの状態になってしまう。事例としてGEやシティバンクのローパフォーマーをレイオフする事例をあげ、それをしてしまうと一気に不安感が高まり、自己防衛感が高まり協力協働姿勢が弱まってしまう。
サイモン・シネック氏曰く、「人は心だ、心の数は減らせない、利益が少ないときは皆で分け合おう、人は安全だとわかると協力し合うようになる」この事例を述べたとき、会場から大きな拍手がおきました。

・オキシトニンは、別名幸せホルモン、愛情ホルモンと呼ばれ、人間同士が触れ合うことで生成される。例えばハイタッチ、ハグ、握手。また人に親切にしたり、役に立つことで喜ばれたりすることでも分泌されるとのこと。最近はIT革命の副作用で触れ合いの機会が減ってきていることも問題。

リーダーはこういった人間が持つ特性を理解した上で、一人ひとりと関わっていくことが大事。そうすることで皆が仕事に行き、安全な環境で働き、幸せを感じ家に帰るようになることが彼のビジョンであると語ってくれました。そして最後に「人財開発の仕事に関わる私たち自身が、まずはお互いをケアすることをやっていけば世界を変えることができる」とのメッセージで締めくくりました。

私自身、仕事への使命感を再認識すると同時に、勇気をもらった講演でした。

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