タイでも本社と共にビジョンを浸透させる!「ベルスタッフ」CEO講演会レポート(土谷雅弥)

海外で優秀な人材を獲得することは、グローバル企業にとって極めて重要なこと。どの国においても言えることですが、現地のマーケットを制するためには不可欠と言えると思います。

タイの優秀な学生はキャリアについて、また、グローバル企業について、どのような関心を持っているのでしょう。

先日、チュラロンコン大学に行って来ました。チュラロンコン大学(通称 チュラ大, )は、タイの優秀大学生が通う国立トップスクール。いわば、日本の東大。バンコクの中心、サイアムに広大なキャンパスを抱えており、日本だけでなく、世界各地からの留学生も学んでいます。
訪問の目的は、イギリスのファッションブランド「ベルスタッフ」(BELSTAFF)のCEOであるギャビン・ヘイグ氏のインタビューセッションをオブザーブさせていただくこと。ベルスタッフのCEO であるギャビン氏は、グローバル企業のCEO就任もベルスタッフで3社め。豊富なマネジメント経験を持ち、アルフレッドダンヒルやカルティエを傘下に持つRichemontでは、長らくCEOを務めておられます。彼の話を聞けると同時に、タイのトップスクールの学生達がグローバルビジネスについてどのような興味、関心を持っているのかを知るための良い機会と思い、オブザーブを依頼したところ快諾してもらいました。

会場には約20名の学生が集まっていました。セッションは英語。ギャビン氏には、企画と司会担当のブン君が用意した様々な質問が次々に投げられるのですが、ギャビン氏はすらすらと準備でもしていたかのように答えていきます。もちろん、カンペなし。

グローバル企業、そして、トップのリーダーシップスタイル、企業のトップになるための要素、思考と行動。こうした彼らの興味、質問にきちんと回答できることが、タイの優秀な学生を惹き付けるための第一歩。「学生時代はどのようなことを学んだのか」「学生時代、学業以外に熱心に行ったことは何か」「モチベーションの源泉は何か」「ビジネスをどのように定義するか」「どのように3000人の社員をリードするのか」「社員を解雇した経験があるか、それは、どのような経験だったか」「ベルスタッフの企業文化は」「どのようにワークライフバランスをとっているのか」「あなたの意思決定のスタイルは」「どのようにして人をインスパイアするのか」等、 学生達からの質問、最初は少なかったのですが、互いに他の学生の質問に触発されたかのようで、どんどん質問の手が上がりました。結局、1時間30分の予定が2時間強のセッションに。

大変興味深かったのは彼の語る「ベルスタッフ」のビジョンとそれをいかに浸透させていくか。「一度力を失ったベルスタッフを再生して、「☆☆☆(具体的な有名ブランド名)に勝るトップブランドになる」というもの。「☆☆☆」のように広く浸透した歴史あるブランドに、全ての分野と市場で勝るつもりはないけれど、特定の分野ないしは市場において勝つというのが、本当に彼が目にしているであろうと実感させられるビジョン。ビジョンや戦略について、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズの例も引き合いに「イマジネーション」の重要性を強調します。スポーツの世界、コーチングの世界でも言われていることですが、「イメージを描くこと」が実現化の第一歩であることの重要性を語っていました。イメージできなければ、実現なし。これを自分の言葉で、より多くの社員と顧客に伝える、語りかけることで、彼らにも描かせて、彼らの力を引き寄せ、実現に向かって行く。企業の方向性を定め、求心力を高めていくのです。

「現地法人は一部の機能を担っているだけ」ビジョンは「本社が考えること」といって、海外法人のその意義、価値を軽視しているということはないでしょうか。本社に海外のベストプラクティス、ビジョンを逆輸入することの刺激や効果は大変大きいものです。グローバル企業を目指すのであれば、将来あるべき姿は、むしろ日本本社よりも海外拠点にヒントやモデルがある可能性が大きいのではないでしょうか。