ATD2015カンファレンスレポートをお届けします!

atd1ATD (Association for Talent Development)は、人材開発や組織開発の分野に従事する人のための世界最大の会員組織で、毎年5月のカンファレンスでは、世界各国から1万人近い参加者が集います。 今年は9600名が参加。うち国外からの参加者は2200名で、日本からも172 名が参加しました。4日間にわたるカンファレンスで、基調講演の他、300を超えるセッションがあり、まさに世界中の人材開発・組織開発の英知が結集される場となりました。

今回、PFCからは、プロフェッショナル・アソシエイトの田岡純一と、コーディネータの工藤真友美が、クライアントの皆様とともに参加。セッションは300を超えているので、すべてをご紹介することはとてもできませんが、印象に残った物についてご報告したいと思います。

<基調講演のご紹介>
まず、現在の人材開発や組織開発の潮流を知る上で欠かせない基調講演(key note speech)のエッセンスをご紹介します。

1. Andrea Jung氏
化粧品会社エイボンの126年の歴史上、初めての女性CEO。現在は退任し、グラミンアメリカのプレジデント兼CEOとして、女性やその家族の経済的な問題の解決に取り組んでいます。今回は、グローバルビジネスをリードする上で大切な要素を自身の体験をベースに語り、特に下記の5つの点を強調しました。

1) Vision and Values must be a global language.
グローバル企業をリードする上で一番大切なのはその企業のビジョンとバリューが明確であり、さらに共有されていること。

2) It’s all about influence.
パワーではなく、関わりをもつことで従業員の動機付けを行う。

3) Reinvention is the key.
企業の継続的成功には改革が重要なカギ。今成功していても未来まで続くとは限らない。

4) Women are the fastest growing emerging market.
女性はマーケットの変化に敏感。社員として、また役職者として、顧客としても女性は急成長している新興 マーケットであり、女性の持つポテンシャルの活用は欠かせない。

5) Do good. It’s as important as doing well.
社会に対して貢献をすることは、企業としての成功のバロメーター。企業の社会的責任と 地域への貢献は、グローバルで働く社員の心を一つにする上でパワフルな方法である。

2. Sugata Mitra 氏
sugata32013年にTEDの受賞履歴も持つミトラ氏(Newcastle University教授)。クラウド上の学校作りに取り組むミトラ氏は、インターネットを活用した子供たちの学習の未来について語りました。

「The Edge of Chaos」を掲げ、自然発生的な学習を目指しています。映画「スラムドッグミリオネア」の元となった、インドの貧困地域での「壁に穴をあけてPCを置き、子供たちにインターネットにつながる環境を与えたところ、子供たちが自主的に習得した」という実験の紹介や、下記のようなお話がありました。

「現在の『教える、試験する、暗記する』といった知識を蓄えさせる教育は機能しなくなってきつつある。今の時代は検索エンジンを使えばすぐに入手でき『知っている』という価値が薄れてきており、わずか10年前にはスマホの登場が予測できなかったように、テクノロジーの進化はますますそのスピードを増している。この急激な変化に対応するには、自ら学んでいく力を育てること、知的好奇心を最大限に活かすこと、またその環境を創ることだ。」

3. Erik Wahl氏
グラフィックアーティストのワール氏は、AT&T、ディズニー、マイクロソフト、FedEx、エクソンモバイル、Ernst & Youngといった名だたる企業の支援をしてきました。

今回のセッションでは、観客を巻き込みながらインタラクティブにセッションを進め、舞台上でU2のボノやスティーブ・ジョブスを音楽に乗せて描くライブパフォーマンスも行いながら、自身の体験をもとにしたビジネスにおける創造性やイノベー ションについて語りました。

「子供の頃はみなアーティストで、『絵が描ける人?』と聞かれると全員手を挙げていたが、大人になるうちに、いつのまにか、創造性を失う」という言葉が特に印象に残りました。子供の頃の感性のように、既存のアイディアを、『Unthink=論理的、分析的にあえて考えない』ことによって、既存のモデルやルールの枠を超えて、創造的思考やイノベーションが起こり、新しい可能性が広がっていくというメッセージが観客を魅了していました。

<その他のセッション>
300を超えるセッションで目についたキーワードは下記のようなものでした。
図1

以下に、気になったセッションからいくつかを手短にご紹介します。

・Change Your Leaders From the Inside Out: SAP’s Social Sabbatical
SAP社がCSR活動として行っている新しいリーダーシップ開発プログラム。グローバルで選抜されたリーダーが、新興国で4週間NPOや団体の活動支援するプロボノ活動を行う。PFCで行っているGIAプログラムとも考え方が似ており興味深かった。

・10 Brain Fitness Exercises to Rock Your Brain
脳科学における学習効果やパフォーマンスを高めるための簡単な演習の紹介。「左右同時に動かす身体的動きが左脳・右脳のパフォーマンスを活性化させる」など。

• Putting the Happiness Advantage to Work
「Work Hard ⇒Successはもう成り立たない、Happyな人が結果いい仕事ができSuccessする」というショーン・エイカーの幸福優位論の紹介。Happyな人の方が31%生産性が高いという調査結果が。

• Accelerating Inclusion: Global Approaches to Creating an Inclusive Workplace
ノバルティス・ファーマがグローバルで取り組んでいるダイバーシティ&インクルージョンの事例の紹介。250名のグローバルトップを集めてのD&Iサミットも行われたそう。

• What’s New in Training Effectiveness?
学習を実践に移している割合はわずか16%。ビジネスの成果に結びつける為の研修をデザインする方法を紹介。

• Executing the Talent Strategy by Democratizing and Leveraging Development
コンピテンシーは使わず、「Value」で多様な人材を惹きつけるFacebook社の人材開発の事例紹介。

• Teaching Leaders Positive, Effective Behaviors for Employee Engagement
インプロ(即興劇)を活用した、リーダーシップ開発手法を紹介。

• Photo Jolts: Increasing Clarity, Creativity and Conversation Through Photo Activity
写真を用いることで、多様な意見を引き出し、対話を促す手法の紹介。

また、PFCが日本国内での総代理店を務めるブランチャードインターナショナルからはケン・ブランチャード博士が登壇。新著『新1分間マネジャー』を「クイックでいいので、ゴールを確認し、リアルタイムなコーチングで日々部下をフォローして日々の成長を促すことが大切」と紹介しながら、「いくつになっても、大きな目的を意識して活動することが、若さの秘訣であり、自身もさらなるチャレンジをしている」とも語り、ご高齢にも関わらず、去年までと異なり立ったまま講演しました。

駆け足にですが、巨大なATDカンファレンスの内容を雰囲気だけでも感じて頂けたらと思います。

来年のATD2016は、5月22日〜25日コロラド州のデンバーでの開催が決定しています。来年はぜひ参加したい!という方はぜひPFCとご一緒しましょう!(工藤真友美)