【ジャンゴのちょっといい話:田岡純一「壁の穴」のむこうのPCを数時間で使いこなした子供たち〜スガタ・ミトラ氏の講演から

5月17日~20日の4日間に渡って、米国のオーランドで開催されたATDに参加してきました。
ASTD(American Society for Training & Learning Development)からATD (Association for Talent
Development)に名称が変わった一回目の大会とあってか、今年も世界中から約1万人、日本からも過去最大の172名が参加しておりました。

今回はその中の基調講演からスガタ・ミトラ氏の講演内容をご紹介したいと思います。
スガタ・ミトラ氏はイギリスのニューキャッスル大学の教育工学の教授で、以前はMITの客員教授をしていた人物です。テクノロジー時代における教育方法に異議を唱え、教育の新たなアプローチ研究の最前線で活躍されています。2013年度のTED賞も受賞しています。

そのスガタ・ミトラ氏が「The Future of Learning」のテーマで講演を行いました。

テクノロジーの急速な発展によって、私たちの生活環境や働き方まで多く変化してしてきている事例を挙げたのち、その反面教育方法におけるやり方が旧態依然のままで、その変化に追いついていない点を指摘。

そんな中、彼が行った実験が「Hole-in-the-Wall:壁の穴」です。スパゲッテイ屋さんの話ではありませんよ(笑)
インドのスラム街にある建物の壁にコンピューターを埋め込んで、子供たちに自由に使わせることを試みました。子供たちから「これ何?、どうやって使うの」って聞かれても「I have no idea. I don’t Know.」と答え、一切情報を与えなかったそうです。でも子供たちはそこに群がり、ブラウザを操作しどんどんいろんなことを学び始めたそうです。互いに知ってることを教えあったりしながら自律的に学び教えあい、その結果9か月後には、平均的なビジネスパーソンのレベルで使いこなせるようになっていたとのことです。
別の場所でも実験したところ子供たちは数時間後にはネットを渡り歩き、ゲーム、音楽、動画といった情報を取り出し楽しみ出したり、検索エンジンまで見つけて宿題の答えまでも自分たちで探しだしたりするようになったそうです。
またイギリスのおばあちゃんネットワークである「The Granny Cloud:グラニークラウド」を組織化し学ぶ子供たちをスカイプで褒めたり励ましたり応援することで、より学習効果が高まった事例も紹介。

ミトラ氏は、現在の「教える、試験する、暗記する」といった「知識を蓄えさせる教育は機能しなくなってきつつある。今の時代は検索エンジンを使えばすぐに入手でき「知っている」という価値が薄れてきている。わずか10年前にはスマホの登場が予測できなかったように、テクノロジーの進化はますますそのスピードを増している。この急激な変化に対応するには、自ら学んでいく力を育てること、知的好奇心を最大限に活かすことまたその環境を創ることだと語りました。(Self-Organized Learning Environment)

彼はそんな中、自らの教育理念の実現に向けインドに学校をつくる計画を進めている。学校といっても校舎を持たない学校。つまりオンライン上に存在する「クラウドスクール:The school in the cloud」。
ここでは特別なカリキュとラムはなく、生徒は知的好奇心の赴くままに学習を進めていきます。その幅広い好奇心に対応すべく色々な課題や認定証が設けられていて、一律の試験のようなものはないとのこと。
また、生徒たちはスカイプを通じてメンたーに相談する仕組みもあります。

最後にミトラ氏は子供たちに教えることは3つだと語り
・読み書きする能力
・必要な情報を得る能力
・その情報の価値を判断する能力

カオスの淵で自然発生的に生まれてくるのがラーニングであり、タレントはそこで開発される語り講演を締めくくりました。(Lean and the edge of chaos.)

社会を創るのは我々人間であり、その人間を創る大きな要素が教育であることは間違いありません。

今後のラーニングやタレント開発を考えるうえで大きな示唆をいただいた内容でした。