グローバル・リーダーに求められるのは、論語「か」算盤ではなく 論語「と」算盤

GIAリーダー・プログラム」は新興国ビジネスをリードする次世代グローバル・リーダーに必要な3つの資質(グローバル・イノベーティブ・オーセンティック)を併せ持つ21世紀のリーダーシップを、新興国での体験学習を軸に身につける、体験型のグローバル・リーダー育成プログラム。スリランカでの実習に目がいきがちですが、渡航前のフェーズ1でしっかりと上記のG・I・Aの3つの要素について学び、考え、問題意識を醸成することで、現地での体験がより深い気づきと効果へと繋がって行きます。
今年も既に東京でのフェーズ1が始まりました。マザーハウス副社長の山崎大祐氏に新興国でのビジネスの実際を語っていただくインタラクティブなセッションや、Hub Tokyo代表の槌屋詩野氏のBOPビジネスの取り組みに関するレクチャーを受けたり、コモンズ投信株式会社会長の渋澤健氏からグローバル・エンゲージメントに関するお話を伺ったりと、盛りだくさんの内容で実施されています。

今回は、その中から、渋澤健氏のお話の一部をご紹介したいと思います。
日本資本主義の父と言われた渋沢栄一氏の直系、5代目のご子孫である渋渋澤澤健氏は、コモンズ投信株式会社会長を務めながら、様々な社会的な取り組みにも関わり、渋沢栄一氏の教えを世に広める活動もされています。GIAリーダー・プログラムに留まらず、企業の社会的貢献、働くことの意義、自社がグローバル課題に何を行うことができるのかなど、考えてみたい方はぜひご一読下さい。

 

●グローバルエンゲージメントとは?
渋澤氏がPFCファウンダーの黒田由貴子と考えた「グローバルエンゲージメント」の定義は「企業が、持続的成長を果たす為に、地球的課題について様々なステークホルダーと対話・協働して、共創すること」。ここでいう「地球的課題」とは、経済開発・環境保全・グローバルヘルス・人権・女性のエンパワーメント、そしてこれらのベースとなる「教育」等を指す。先進国が後進国を支援するということだけではなく、途上国の持続的成長に寄与することを重要と考えているという。先進国と後進国が共創によって共に成長する以外に、未来を作る方法がないからだ。
この定義にある「持続的成長」というキーワードは今回のレクチャーでも繰り返し語られた。たとえば、渋澤健氏の高祖父にあたる渋沢栄一氏も「その経営者一人がいかに大富豪になっても、そのために社会の多数が貧困に陥るようなことでは、その幸福は継続されない」と持続性(サステナビリティ)について触れていると言う。あるいは、ハーバード大学のマイケル・E・ポーター氏が、企業が追求する経済的価値(利益)と社会的価値を同時に実現する「Creating Shared Value」という概念を提唱しているが、この言葉も実は「Creating Shared sustainable Value」ということができるのではないかと言う。

●「我がコト感」が欠かせない
氏は「私たちの世代で世界の三大感染症を克服する」を掲げて活動する「グローバルファンド日本委員会」のディレクターとして携わっていた。にも関わっている。実際に政治家などを伴ってヤンゴン(ミャンマー)等も訪れた活動を振り返りながら、渋澤氏は「『遠くの国の感染症』というのは『我がコト感』を持ちにくいと思うが、グローバル時代には遠い出来事ではなくなっている。どんなことにも『我がコト感』をもって取り組むことが必要」と語った。
「どの時代もどの国でも、人々は『今日よりも、良い明日を』という普遍的な思いを持っており、これは我々の大切な『資源』。自分は、この『資源』を集めて『共感資本』にできたらと考えて投資信託のファンドを設立している作ったりしている。投資は日本語では『投げる資金』と書くが、英語では『Invest』で、「ベストに入れる」という意味がある。『我がコト感』をもって投資し、それを通じて世の中の持続的成長を自分の「ベスト」、つまり、「チョッキ」のポケットに入れる、と考えると、『投資』に新しい意味合いが与えられるのではないか」という言葉も非常に印象に残った。

●論語「と」算盤
高祖父の渋沢栄一氏の著書「論語と算盤」にも話は及んだ。渋澤健氏によれば、「論語と算盤」の中で一番大切なのはこのふたつをつなげている「と」という言葉。経営者にはこの「と」が欠かせないのだと言う。「『AかBか』という二者択一からは新しいものは生まれない。しかし、矛盾しているものを両立させようとすると創造力が必要になる。経営者が最後の最後に行うのは、様々なステークホルダーの要望を取り入れながら『AかBか』ではなく『AとB』で考えること」。まさに、「様々なステークホルダーと対話・協働して、共創する」というグローバル・エンゲージメントにも欠かせない観点だ。「高度成長の時代は、多様な価値観は必要なかったが、成熟した先進社会となった現代では、持続的な成長のモデルとしては、様々な価値観を取り込むことが欠かせない。まさに「と」の時代なのだ」。

●「枠の内側に留まるな!」
また、GIAリーダー・プログラムの参加者には、「人は、国・地域社会・業界・会社・部署、あるいは「あるべき姿」の固定概念、等といった「枠」を抱えながら、その中で生活し、ともすればこのコンフォートゾーン(心地よい枠の中)に留まりがち」「それは悪いことではないが、組織や社会の全員がその枠に留まっているとこの枠が知らないうちにだんだんと小さくなってしまう。だから枠を飛び出ることが非常に重要」というメッセージが伝えられた。「GIAリーダー・プログラムでスリランカに行くことは、日常の仕事の枠からはみ出す貴重な体験。日常の中で見えてなかったことが見えてきたりするだろうし、宝石がたくさん転がっているので拾い上げてもらえればと思う」との言葉に、参加者の皆さんも大きくうなずいていた。

●「グローバル・エンゲージメントに欠かせない4つの要素」
お話の最後に紹介されたのは、慶応大学の前野隆司教授の幸せの考え方だ。人間は誰もが幸せになりたいと願う。しかし、幸せには、長続きしない幸せ(金や地位など)と長続きする幸せがあるという。教授は「幸せを長続きさせる為の4つの心的要因」として以下を挙げている。

1)自己実現と成長
2)つながりと感謝
3)前向きと楽観
4)独立とマイペース
これらは、持続性をキーワードとする「グローバル・エンゲージメントにも欠かせない」考え方だと言う。

来年度のGIAリーダープログラムへの参加や社員の派遣をお考えの方は、ぜひ8月3日(月)に東京で行われる、参加者による発表会にお越し下さい。