中国の人とチームになれるか?

中国の人とチームになれるか?

中国人の友人と話をしていた時、彼の言葉に、「え、そうだったの?!」と、とても驚いたことがあります。運動会のお話です。中国ではクラス対抗で運動会が行われます。参加できるのは、それぞれの競技で勝てる見込みのある子だけ。「私なんて一度も参加したことがない。お菓子を食べながらずっと見ていた」、というのです。中国では、「いかに勝つか」という観点で、競技に参加する子供が決められていきます。「みんなで力を合わせて」という日本の運動会との違いに、とても驚きました。日本でも、中国でも、家族や地域、学校生活のなかで、自分たちの当たり前(=無意識に正しいと思っていること)が出来上がっていきます。この運動会の話は、ほんの一例にすぎません。

日本では、子供のころから、協力する大変さ、面白さを体験的に理解してきています。では、その経験を持たない人に、どのように「みんなで力を合わせて」を伝えていけばよいのでしょうか?

今回から何回かにわけて、ご紹介して行こうと思います。

 

チームとは何か?

1回目の今回はまず「チーム」について考えてみましょう。

われわれPFCは、チームを次のように定義しています。「特定の目的を達成するために集まった複数の人々で、一人ひとりの力が足し算以上の成果になっている状態」としています。ところが、多くの場合、お互いに良さを消しあい、引き算しあっている状態が見られます。この状態をグループと呼びたいと思います。ある中国人社長の話です。「一人ひとり大変優秀なのに、組織の成果が上がらない。個人の売上を単純に足し算したものが組織の売上になっている。お互いの良さを活かすとか、助け合うとか、全くできていない」まさに、グループの状態です。何も手を打たなければ、この組織がチームになることは、残念ながらありません。リーダーとメンバー、そしてメンバー同士が奇跡的に上手く組み合わさり、チームになることはあります。しかし、取り巻く環境や、メンバーが変わると、あっという間にグループの状態になります。そして、このような組織が世の中にはたくさんあるのです。

 

チームに必要な3つの要素とは?

ではグループではなくチームになるためにはどうしたらよいのでしょうか?PFCはこれまで さまざまな組織について研究をしてきました。その中で、グループがチームになるために、欠かせない3つの要素が見えてきました。それは、ベクトル(方向)、プロセス(流程)、ヒューマン(人)の3つです。下の図を見てください。

chinablog

ベクトル(方向)とは、方針・目標を指しています。まず方針とは、進むべき方向性、単年度の戦略と言い換えてもいいかもしれません。また目標は、この言葉の通り、今年目指すゴールです。ベクトルが合っていない状態では、チームには決してなりません。
二つ目のプロセスは、進め方・役割分担のことです。業務の進め方、各部署、個人の役割の明確化などが含まれます。
そして、最後のヒューマンは、ゴール達成に向けて、能力のあるメンバーがそろっているのかどうか、ということです。いまご紹介したベクトル、プロセス、ヒューマンは、どの要素が欠けても、チームにはなりえません。どこかの要素が欠けるとグループの状態が続き、組織として狙った成果が出なくなってしまうのです。

 

日系企業の課題は何か?

われわれが様々な日系企業の組織、部門について行ってきた「チーム効果性調査」の結果を見ても、3つの要素(ベクトル、プロセス、ヒューマン)がそろわなければ、チームにはならず、組織の成果にもつながっていないことがわかっています。
たとえば、この調査を通じて、成果を上げる組織に見られたいくつかの特徴が下記です。。

・ベクトル(方針や目標)が明確で、一人ひとりの理解度が高い。
・かつ、プロセス(業務の進め方や役割分担)が明確である。
・さらに、お互いのコミュニケーションが密に行われている。

まさに3つの要素がバランスよく揃った状態です。一方で、成果が上がっていない部門の特徴としてはたとえば、

・「ヒューマン」の要素は非常に高いレベルにある。つまり一人ひとりは優秀であり、またお互いの関係性も悪くない。コメント欄にはお互いを尊敬しているようなコメントも多々見られる。ただし、ベクトルやプロセスが不明確 といった組織がよく見られます。どうでしょう、あなたの回りにも思い当たる部門があるのではないでしょうか?

 

中国人をチームにするために

冒頭の運動会の例にある通り、私たちだって、「みんなで力を合わせて」というチームワークを言葉だけで説明されて理解してきたわけではありません。様々な体験を通じて理解してきたのです。ですから、中国人だって、ただ「チームワークを高めよ!」と口で言ったところでわかるはずがありません。上記のように「チーム」についてきちんと定義した上で、言葉で伝え、体験してもらうことが欠かせません。一つの方法として、まずは今回ご紹介したベクトル、プロセス、ヒューマンという三つの観点で、みなさんの同僚やメンバーとお話してみてはいかがでしょうか?

 

次回は中国の勝ち組企業のチーム作りについてご紹介したいと思います。