NPOから組織開発を学ぶ〜ODNJ Annual Conference 2014レポート

2014年8月30・31日に開催された「OD Network Japan 2014国際大会」において、PFCの行ったセッションのレポートをお届けします。
「社会を変えるODの実践 日本のODの過去・現在・未来〜個人から組織、世界へ〜」というサブタイトルのつけられたこの国際大会は、立教大学の建物をひとつ借り切って開催され、国内外から多くの研究者や実践者の方々が訪れました。

PFCは
「紛争地・被災地に於ける自立促進と組織開発」
グローバルOD
のふたつのセッションを行いました。このレポートでは「紛争地・被災地に於ける自立促進と組織開発」をお届けします。

ODNJ黒田写真PFC冒頭、PFCの取締役・ファウンダーで、認定NPO法人JENの代表理事も務める黒田由貴子から、NPOと企業の共通点などについて話がありました。
・ NPOというと「ボランティア団体」と理解される場合があるが、有給かつフルタイムの職員がサービスを提供する団体であり、企業組織とも共通点が数多くある。
・ たとえば企業は「株主」「社員」「顧客」といった様々なステークホルダーと関わり合いながら仕事を進めて行くが、これはNPOも同じ。NPOの場合は「ドナー(資金を提供する人)」「職員」「受益者(被支援者。企業に於ける顧客にあたる)」などがステークホルダーとなり、彼らをマネジメントしながら進めて行くことになる。違うところは、株主は提供した資金に対してのリターンを求めるが、NPOのドナーはそれを求めず、すべてが社会に還元されることを期待している点。
・ NPOの中でも、JENはグローバルな人道支援を行っていて、JENの職員は、この分野のプロフェッショナル。被支援者の自立を目的とするJENの人道支援活動を見ていると、組織開発の参考になる点が多々ある。
・ 「外からやってきたよそ者(企業でいえば外部のコンサルタント)を信頼してもらうには」「助けすぎると自立性が損なわれるので、いかに彼らに主体的に関わってもらうか」「彼ら自身がお互いに助け合うようになるような、ネットワークや組織作りを地域内に促す」といった課題はまさに組織開発だ。ただ、被支援者の置かれた厳しい状況を考えると、ビジネスで行う組織開発よりはるかに難しいともいえよう。

ODNJJENの人続いて、JENの濱坂都さんから、被災地や紛争地に於いて、コミュニティの中でどのようにしてネットワークを作りながら、「受益者が自分たちで自分たちを助けるというような状態を作るか」についてのお話がありました。

ひとつめの事例はスリランカ。2008年の東部での内戦終結後に、もと住んでいた土地へ帰った人々への生計回復支援活動を始め、2009年、北部の内戦が終結したのちには活動地域を拡大し、同様の活動を行っているそうです。
・井戸や種苗などのモノの支援も行うが、物品の支援は配布したらそれで終わってしまうと考えている。
・JENが設立以来20年間変わらずやっている手法は、たとえば、井戸管理委員
会を作ったり、どうやって苗を健やかに育てるかの話し合いのワークショップを
定期的に行うなど、コミュニティの強化。
・たとえば、現地の村人たちから「コミュニティ・モビライザー」を募集して育成。特に資格や条件は必要なく、「村や近所の人々をまとめたい、何かやりたい」というやる気のある人たちが手上げ方式で集まってくる。彼らは近所の人たちに「いついつワークショップをやるから来てね」というように声がけを行うなどし、そのおかげもあって、ワークショップへの参加は毎回100名前後 (1村30人前後。3村で実施)で、ほとんど100%の受益者が参加している。

JEN組織図ちなみに、支援にあたってはこのように大きな組織で行い、ほとんどが現地スタッフだそうです。
テクニカルオフィサー、フィールドオフィサーなど様々な役割があり、受益者である一般市民がこの下に位置することになるそうです。

 

また、このように精緻な実施計画のカレンダーもあるそうです。
JEN実施計画

続いては、ヨルダンに避難したシリア難民によって形成されるザータリ難民キャンプのお話でした。
JENが支援を行っている難民キャンプは世界に二番目に大きい難民キャンプで、人口は12万人と一つの町のような巨大な規模になっています。

ここでJENが行っているコミュニティ強化の事例としては:
・「水衛生委員会」を立ち上げ。受益者(難民)の中からメンバーを募った。JENのスタッフから衛生知識等を学んだメンバーは、水回りの施設を毎日パトロールし、破損などを見つけたらすぐに修理を行う。また、毎日200人以上増える新しい難民に対して、キャンプ内での衛生管理の大切さを伝えるといったことを行う。
・ 雑誌の発刊を通して、水・衛生環境の大切さを伝える
・ 子どもたちが楽しく衛生知識を学べるようなアクティビティの実施など。

取り組みのどれもが「コミュニティ強化の為に『課題を解決する』」、「自立を支援する」というポリシーで行われていることが印象的でした。たとえば、衛生設備に関して「何かなくなっても支援団体が整備してくれる」というような考え方の人たちは当然いるけれども、JENの方達は「住民達自ら考え行動するように繰り返し話して行く」のです。当事者意識の醸成、自立、チーム形成、当事者による課題解決の支援などは、まさに企業に於ける組織開発のプロセスそのものですね。JENのパンブレットの冒頭に掲げられた「JENがいなくなることが、JENの目的です」という言葉も、ファシリテーターやリーダー、チェンジエージェントのありかたと共通するものがあります。

最後に、黒田は「イギリスのOxfamのようなNGO組織に比べ、日本のNGOやNPOはまだ規模が小さい。日本のNGOがグローバルにプレゼスを高めていくために、彼らを組織開発していくことで支援したい」と語り、PFCが社会の為に行えることは無限にあると改めて感じました。

JENポストイット

右の写真は、セッション参加者の皆さんによる「印象に残ったこと」「気づき・学び」「試したいこと」など。
・どんな状況にあっても人と人があつまる場所でなすべきことは、同じようなこと。その中にOD的な関わりもとても有効なのだろうと感じました。
・理解者を増やして行くには、地道なコミュニケーションの継続が一番有効
・私がODに取り組む対象をもっと広げたい
など、さまざまな感想、思いが書き込まれました。
JENの活動についてさらに詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧下さい。