目指せグローバル才女!薫子の「飛んだ人生」〜グローバル化を進める日本企業への辛口エール

図1こんにちは、薫子です。

この業界に入ってから10年近く、様々なグローバル企業、グローバル化を進める日本企業のチームビルディングや研修に携わってきました。その中で見えてきた、グローバル化を進める日本企業に共通に見られる課題のいくつかをご紹介します。今回のコラムは通常よりも「辛口」になってしまいましたが、グローバル化を進める日本企業に対するエールとして読んで頂ければ幸いです。

日本企業が抱える課題1:欧米や他のアジア諸国に比べて、女性の管理職が圧倒的に少ない

先週行ったチームビルディングセッションは、部長の一つ下の階層の管理職が、アメリカ、ヨーロッパ、日本から集まりました。36名の参加者のうち、女性参加者は6名で、全員がアメリカとヨーロッパからの参加者でした。日本人は20名近くおりましたが、全員男性でした。この10年間、日本、アメリカ、スイス、ドイツ、ソウル、上海、シンガポール、マレーシアなどで管理職向けの様々なワークショップを実施してきましたが、日本以外の国では、少なくとも受講者の1/3は女性です。先月、アメリカで人事部向けの研修を実施したときは部長を含め2/3が女性でした。日本で管理職向けの研修を行うと、受講者は殆ど男性で、女性は一人いるか否かというレベル。管理職でなくても参加できるビジネススキルや異文化コミュニケーションの研修でも、女性は数人いればいいほうです。一方、リーダーを支えるフォロワーシップを学ぶ研修は、受講生が女性ばかりでした。個人的には、男性にこそこういった研修に参加してもらって、女性のリーダーを効果的に支える方法を学んで頂きたかったと思いますが。

同じ言語を話し、価値観も似ているはずの日本人女性すら活用できない日本の企業は、言語や価値観が異なる外国人を活用できるはずがない、というのが私の持論です。

日本企業が抱える課題2:日本人の英語でのディスカッション能力が圧倒的に低い

グローバルチームビルディングなどで世界各国から参加者が集まるワークショップでは、テーブルグループでのディスカッションをたくさん行いますが、ディスカッションをファシリテートしているのはたいてい欧米からの参加者です。日本人はただうなずいて聞いているだけか、下を向いて資料を読んでいる人が多く、積極的に議論に参加している人、自らディスカッションをファシリテートしている人は殆どいません。英語というハードルがあることは認めますが、ヨーロッパや他のアジア諸国からの参加者は、なまりが強い英語、文法的に間違っている英語でも、堂々と議論に参加しています。管理職にまでなって「英語が苦手だから議論に参加できません」という言い訳は通用しません。日本人のディスカッション能力が低いのは、英語の問題だけでなく、そもそも相手と議論を戦わせながらよりよい結論を導くというディスカッションやディベートの技法が、日本の文化に馴染んでいないせいではないかと思います。グローバル企業では、限られたミーティングの時間内に効果的に議論をして意思決定をしますから、日本人のディスカッション能力が低いということは、グローバル企業の意思決定に影響力を及ぼすことができないということを意味します。そしてこれは、グローバル企業の中枢を担っている日本人があまりいないという現状につながっていると思います。

日本企業が抱える課題3:日本人の英語でのプレゼン能力が圧倒的に低い

テーブルグループでディスカッションした結果を発表してもらうとき、何も工夫しないと、欧米の参加者が発表を担当することが多いので、幅広い参加者に発表の機会を与えたい場合「今日の日付に誕生日がいちばん近い人が発表してください」などと指示します。こういった工夫をすると日本人が発表する機会も増えるのですが、残念なことに発表内容がよく伝わらないケースが多いです。
日本人が英語でプレゼンをするときにしばしば見られる特徴として、まずスライドやフリップチャートに書いてあることを棒読みします。フリップチャートを棒読みしていますから、体はフリップチャートのほうを向いていて、聴衆には背を向けアイコンタクトはゼロです。また、英語の発音云々の問題以前に、声が小さくて聞こえません。そして、言い間違えたり、どこを読んでいるかわからなくなると「I am sorry」を連発します。結果、自信の無さだけが伝わり、何が言いたかったのかわからないプレゼンに終わります。

その点、アメリカ人のプレゼン能力の高さにはいつも感心させられます。プレゼンの中身自体はたいしたことが無くても、卓越したプレゼン能力で聴衆を惹き付けます。
先週行ったグローバルチームビルディングでは、部署のトップであるアメリカ人が来て、部署のビジョンをプレゼンしました。彼が準備したスライドは文字が少なくてシンプル。演台に立ってスライドを読むのではなく、会場をくまなく歩き回り、参加者の目を見ながら、参加者に対して語りかけます。参加者からの質問を歓迎し、答えがわからない場合は正直に「I don’t have the answer to that」と言って、専門知識を持っていそうな他のメンバーの意見を求めたり、皆で一緒に考えていきたいと呼びかけ、一体感を醸成していました。

短時間で自分の言いたいことをきちんと伝え、聴衆を惹き付け、共感を得るといったプレゼン能力は、グローバル企業で活躍するために必須の能力です。伝統的な日本企業では根回しや飲みニケーション、あるいは「これは上司の命令だ!」という権限を行使することで、部下や他部署を動かすことができたかもしれません。一方、グローバル化が進んだ企業では、根回しや飲みニケーションを実施することが物理的に難しくなりますし、組織のマトリックス化が進むと、自分が直接権限を持たない他国のチームメンバーを動かしていかなくてはなりません。このような状況で人を動かすためには、メンバーに共感、納得してもらえるコミュニケーションを取ることが不可欠となります。

日本人の能力自体が低いとは思いません。専門知識も問題解決能力も高いものを持っているはずなのに、英語でのコミュニケーション能力(ディスカッションやプレゼンの能力)が低いため、結果的にグローバル企業で存在感を発揮できずに終わっている日本人が多いのが残念です。

欧米だけでなくアジア諸国と比べても、女性の管理職が少ない日本企業、英語でのコミュニケーション能力が低い日本人。10年前と今とで、グローバル化は物凄いスピードで進みましたが、日本企業のこういった課題はあまり改善されていないように感じます。世界のグローバル化のスピードと、日本企業の人材のグローバル化のスピードに大きな差がある状況で、今後、この差がどんどん大きくなっていくと、グローバルにビジネスを展開している日本企業の意思決定の中枢を担うのは全て日本人以外になるのが当たり前になるかもしれません。現に、私が関わっている日本企業の一社は既にそのような状況です。

日本人に限らず、グローバル企業に共通して見られる課題についても書きたかったのですが、字数の関係で次回ご紹介することにいたします。