【田村洋一】一人前のファシリテーターになるには

「一人前のフtamura_2ァシリテーターになるにはどのくらい経験を積む必要がありますか?」

今から10年前に日本の大手製造業企業でファシリテーター養成のためのコーチングをしていた頃に聞かれた質問です。

私の答えは今も昔も同じです。

たくさん失敗を重ね、たくさん学ぶこと です。

失敗しないとなかなか学べないのです。
失敗もせず学びもしなかったら何千時間、何万時間と経験を重ねても無駄です。
質のいい失敗を重ねて、そこから肌身で学んでいくこと。これに勝る学習と成長はありません。

ではどんなふうに失敗したらいいのでしょうか。

まず、誰でもうっかり失敗することがあります。
失敗したら、失敗から回復するばかりでなく、失敗を有効活用できないかと考えてみる癖をつけることが大切です。
「失敗した。でもこれがかえっていいことかもしれない」と自問自答するのです。

二つ目に、意図的に失敗することです。
場を選び、相手を選び、ほんの少し馬鹿なことを言ったりやったりしてみます(ほんの少しですよ)。ちょっとだけ勇み足をしてみます。漫才でいう「トボけ」です。相手に突っ込んでもらえるようにトボけてみるのです。

この練習は意外と大切です。失敗しても大丈夫ということを繰り返し学ぶのです。そして失敗は「かえって悪くない」ということを感覚的に学ぶのです。
なかにはつわものがいて、最初から意図的な「勇み足」や「トボけ」をも既にファシリテーションに織り込み済みの人もいます(関西人かもしれません)。それは高等技術です。でも、高等技術を使わない人も、意図的な失敗を心がけてください。

三つ目は、他人の失敗から学ぶことです。
自分の失敗を笑えるようになれば一人前ですが、なかなか難しいものです。他人の失敗を見つけるほうが簡単です。

他人が失敗しているのを見かけたら駄目出しして嘲笑うのではなくて、「この失敗は使える。かえって悪くない」とリフレーミングしてみるのです。
他人を題材にして学べるようになればしめたものです。
「人の振り見て我が振り直せ」と言いますが、他人の失敗はただの反面教師ではありません。他山の石は常に優れたファシリテーションのお手本、見本でもあります。自分が失敗したときに、失敗をただの失敗でなく成功のきっかけにしてしまう。そのための学習材料なのです。

「失敗している」と思ったら、「これは成功へのステップかもしれない」と捉え直してみる癖をつけてみましょう。

日常の些細な出来事が全部学習材料になります。