目指せグローバル才女!薫子の「飛んだ人生」〜USのワーキングマザー事情(前編)

図1皆様、こんにちは。薫子です。

今回のコラムのテーマは「USのワーキングマザー事情」です。

皆さんご存知のとおり、アメリカはまさに多様性の国、いろいろな民族が寄せ集まって成り立っている国です。USのワーキングマザーといってもいろいろなタイプの人がいますが、私がアメリカで出会ったワーキングマザー達や、自分自身の経験に基づく事例を中心に、前編と後編、二回にわたってご紹介していきます。

彼女達は、大きく分けて下記の3つのタイプに分類されます。

1)仕事を辞めて専業主婦になったが、仕事復帰を望んでいる

2)子供を産んだ後も、出産前と同様、第一線でバリバリキャリアを築いている

3)子供を産んだ後は、仕事を少しセーブしながらも仕事を続けている 

それぞれのタイプを詳しく見ていきましょう。

1)会社を辞めて専業主婦になったが、仕事復帰を望んでいるタイプ

ドキュメンタリー映画のプロデューサーをしていたアメリカ人の友人は、双子を出産した後、専業主婦になりました。彼女は仕事を続けたかったのですが、アメリカは育児に関する政府の補助は殆ど無いため、子供をデイケア(保育園)に預けるとなると一人当たり毎月20万円近い出費となります。双子となると毎月40万円かかり、仕事を続けることで得られる収入をはるかに上回ってしまうため、彼女は会社を辞めて、育児に専念することにしました。

アメリカ、特にサンフランシスコ、ベイエリアは、子育てにかかる費用が半端でなく高いです。デイケアの平均コストは毎月15-25万円、日本の保育園の5倍くらいの費用です。それでも、デイケアはどこもすぐ満員になってしまい、妊娠中から申し込んでもWait Listで空きが出るまで待つことになります。その間はベビーシッターで乗り切りますが、ベビーシッターの相場は1時間1800円くらいなので、朝8時から18時まで10時間見てもらったとして一ヶ月で36万円。皆さん、一人のベビーシッターを二家族でシェアしたりしてコストを抑える工夫をしていますが、それでも毎月20万円近い金額が保育料として消えていきます。

なので、私の友人のように、保育料が給料を上回ってしまうという理由で会社を辞めて育児に専念する人はいます。また、職場が遠かったり、労働時間が不規則で育児と両立しにくいために会社を辞めた人もいます。ですが、始めから、結婚、出産したら仕事を辞めて専業主婦になりたいという人は、私がアメリカで出会った人の中にはいませんでした。

双子を出産した私の友人は旦那さんの出身国であるフランスに引っ越しました。子育て支援の充実しているフランスでは保育園が無料なので、子供を預けてフリーランスで仕事を再開したいそうです。別の友人は2人の子供の出産と旦那さんの転勤のため、会社を辞めてしばらく専業主婦をしておりましたが、子供が幼稚園に入ると同時に起業しました。アメリカでは出産後も仕事を続けることが当然という風潮があるため、会社を辞めた人も、仕事をしていないことに後ろめたさ、物足りなさを感じていて、いずれは仕事に復帰したいと考える人が多いようです。そして、必ずしも元いた会社に戻るということはなく、育児をしながら自分のやりたい仕事をするために、転職したり起業するワーキングマザーが多いように感じます。

2)子供を産んだ後も、出産前と同様、第一線でキャリアをバリバリ築いているタイプ

先日、シリコンバレーのハイテク企業に研修をしたときに出会った受講者の女性は、産後3ヶ月で職場復帰した直後に、ヨーロッパのプロジェクトにアサインされました。ヨーロッパのプロジェクトは、彼女がずっとやりたいと思っていた仕事だったので、生後3ヶ月の赤ちゃんがいても躊躇なく引き受けたそうです。毎月のようにヨーロッパに出張するため、母乳で育てるのをあきらめて、すぐに粉ミルクに切り替えたと言っていました。

アメリカの企業は、基本的に社員の専門性や能力によって仕事をアサインしますので、社員に小さな子供がいようとも、海外出張や責任ある仕事がどんどんアサインされます。もちろん本人が希望すれば、海外出張がないオフィスワークといったマミートラック(仕事と子育ての両立はできるものの、昇進・昇格とは縁遠いキャリアコース)に乗っかることも可能ですが、会社が、本人の希望なしに自動的にマミートラックに乗せることはありません。ただ、前回のコラムで書いたように、アメリカ企業は徹底した成果主義を取りますので、マミートラックに乗らない以上、海外出張でも何でもこなさなくてはなりません。そのために、子供を生後3ヶ月からフルタイムでデイケアに預け、住み込みのベビーシッターにデイケアへの送迎や子供の世話を任せる、母乳はやめて粉ミルクに切り替える、食事を作ったり掃除や洗濯をするヘルパーを雇う、といったように、育児と家事の殆どを外注しながら働いているキャリアウーマンも少なくありません。

産後3ヶ月から海外出張をバリバリこなしている管理職のワーキングマザーに、生後3ヶ月の小さな赤ちゃんを朝7時から夜7時までデイケアに預けることに抵抗は無いのかと聞いたとき、彼女はこう言いました。「この仕事は私の専門分野で、私がいちばん実力を発揮できること。育児は高い保育料を払って育児のプロに任せる。家事もプロに任せる。私自身がイライラしながら育児や家事をこなすよりも、自分はいちばん実力を発揮できる仕事をして、育児や家事はそれぞれプロに任せるのが、自分にとっても子供にとっても一番いいと思う。」

このタイプのワーキングマザーは一家の大黒柱になっているケースも多いです。私の夫の兄夫婦の場合、奥さんのほうが夫の兄よりも給料が高かったので、夫の兄が仕事を辞めて2人の子供の面倒を見る「専業主夫」となり、奥さんは外でバリバリ働いて一家を経済的に支えています。デイケアで知り合った夫婦は、女性は大学病院の医師で夜勤もこなし、男性は平日は育児と家事をして、週末のみ消防員として働いてます。私が以前エグゼクティブコーチングを提供していたアメリカ人の管理職の女性は、日本に駐在することになり、旦那さんが仕事を辞めて奥さんについていくことになりました。旦那さんは平日は子供3人の育児と家事に励み、週末は「画家」として絵を描いて、個展を開く準備をしているそうです。

「男は外で稼ぎ、女は家で育児と家事をする」という固定観念はアメリカにはなく、男女関係無く、どちらかより給料が高いほうが働く、それぞれが得意なことをする、という合理的な意思決定をしているようです。

3)子供を産んだ後は、仕事を少しセーブしながらも仕事を続けているタイプ

私がまさにこのタイプに当てはまります。前回のコラムで書いたようにアメリカ企業の多くは成果主義に基づく柔軟な働き方を認めているので、子供が小さいうちはこのような働き方をしているワーキングマザーも多いです。このタイプについては、次回の後編で、自分の事例も入れながらご紹介していきたいと思います。

※こちらの寄稿は、社内でのダイバーシティ推進活動の一環としてパナソニック(株)様のイントラネットにも掲載されました。