目指せグローバル才女!薫子の「飛んだ人生」〜USの働き方事情 - With Freedom comes Responsibility

アメリカ、ヨーロッパ、アジアを飛び回る生活を7年近く続けて、このまま独身キャリアウーマン路線を突っ走るかと思っておりましたが、趣味のハイキングで知り合ったアメリカ人男性とアラフォーにて結婚し、2012年6月に息子を出産いたしました。アメリカには日本のような産休・育休制度がないため、出産する3日前まで仕事をし、出産後3ヶ月で仕事に復帰しました。

図1今回のコラムのテーマは「USの働き方事情」ですが、USの働き方の特徴としてまず頭に浮かぶことは「徹底した成果主義を前提に、柔軟な働き方が認められる」ことです。アメリカは少子化問題を抱えていませんから、子育てに関する政府の支援は殆どありません。それにも関わらず、私自身、そして多くのワーキングマザーが、育児をしながら自分のやりたい仕事を続けることができるのは、在宅勤務やパートタイムなどの柔軟なワークスタイルが、アメリカの企業に広く浸透しているためではないかと思います。

アメリカでは産休後に女性が仕事に復帰するのは当たり前という風潮があるため、「仕事を続けるか否か」は問題にならず、「復帰後にどのように仕事をするか」を上司と話し合います。私の場合は、息子が小さいうちは、海外を頻繁に飛び回る働き方は無理だと思いましたので、80%のパートタイムで働くことにしました。ただ、日本のようにパートタイムや契約社員になると労働内容や条件が下がるわけではなく、仕事内容もポジションもフルタイムのときと同じです。また、「パートタイム=時短」ではありません。アメリカの企業では成果主義が基本であり、成果は「オフィスに何時間いたか」ではなく、「何をアウトプットしたか」で測られます。成果さえ出していれば、どこで何時間働こうが誰も気にしません。ですので、80%のパートタイムになるということは、労働時間が80%になるということではなくて、達成すべき業績評価基準がフルタイムの80%に下がり、給与もフルタイムの80%に下がるということなんですね。将来、フルタイムに求められる業績を上げられるようになれば、100%のフルタイムに戻ることも可能です。

このように、アメリカでは、柔軟な働き方が認められる前提条件として、徹底した成果主義があります。弊社では年初に、自分の業績目標を決めて上司と合意します。この業績目標は、いわば私と会社の間の「契約」です。私はこの1年間でこういう業績を達成すると約束するので、その代わり、会社は柔軟なワークスタイルや今の給与水準を認めます、という契約です。

売上げ目標など、いろいろなゴールを設定しますが、全て数値化されます。「チームワーク」や「イノベーション」など数値化しにくいゴールでも、「チームミーティングに毎月最低2回は参加する」「新しい研修プログラムを3つ作る」といったように、必ず数字に落とし込みます。ボストン在住の上司と対面で会うのは年に1-2回程度ですが、頻繁に電話会議やウェブミーティングを行ってコミュニケーションを取っています。年に2回は上司と業績レビューミーティングを行い、年度末には自分の達成した成果に基づいて、上司と、昇給、昇進、ボーナスなどの交渉をします。

このような「徹底した成果主義を前提とした柔軟な働き方」は、職種やその人の性格によって、向き不向きはあると思います。が、私のように、周りに人がワサワサしていると仕事に集中できない、通勤時間を家事や育児に充てたい、同僚やクライアントが世界各国に散らばっているため、早朝や夜に電話会議をしなくてはならない、という状況の人にとっては、在宅勤務することによって生産性が上がり、ワークライフバランスも取りやすくなります。弊社にはワーキングマザーがたくさんいますが、皆さん、在宅勤務やパートタイムのワークスタイルを活用しながら第一線で活躍しています。私の上司を始め、トップマネジメントの半数がワーキングマザーです。

ここまで読むと、アメリカの会社は働きやすそうでいいなぁと思われる方もいるかもしれません。確かに柔軟なワークスタイルが認められているという点では働きやすいのですが、成果を出せなければ会社に不要な人材と判断され、あっさり解雇されてしまうため、成果を出すためのプレッシャーは相当なものがあります。私の場合も、年初に会社と合意した成果を出すために、週末は夫に子供を見てもらって家で仕事をしていますし、早朝や夜遅くからの電話会議もざらにあります。アメリカ国内の出張が入ると、数日間家を空けざるを得ません。乳飲み子がいる中で家を空けるのがどれだけ大変か、実際体験するまで想像もつきませんでした。2013年は、4月と10月にそれぞれ1ヶ月ずつ、夫に会社を休んでもらって、息子の専属ベビーシッターとして私の日本出張に同行してもらいました。こういったワーキングマザー特有の苦労については、次回の「USのワーキングマザー事情」で詳しく紹介していきたいと思います。(たくさんあるので、制限字数内で書き切れるかどうか……)

苦労はたくさんありますが、それでも、自分の能力を発揮して、クライアントの役に立つ仕事を続けられることの喜びは大きく、それを可能とするワークスタイルを認めてくれる会社に感謝しています。

アメリカには「With Freedom comes Responsibility」(自由には責任が伴う)というフレーズがあります。柔軟なワークスタイルという自由には、成果を出すという責任が伴います。社員一人一人がプロ意識を持って、会社との契約事項(業績目標)を果たし、会社にとって必要な人材であり続ける。そして会社はそういう社員を信頼して柔軟なワークスタイルを認める。こういうサイクルがうまく機能するようになれば、ワーキングマザーを始め、多様なニーズを持つ優秀な人材が能力を発揮して働き続けることができ、会社にとっても社員にとってもWin-Winの職場を作ることができるのではないでしょうか。

※こちらの寄稿は、社内でのダイバーシティ推進活動の一環としてパナソニック(株)様のイントラネットにも掲載されました。