【田村洋一】参照ポイントを増やすということ

先月の座禅断食会への参加からは様々な気づきや成果が生まれたのですが、その筆頭は、 「新たな参照ポイントの創出」 だったといえます。

今までは、「お腹が空いたら何か食べる」というのがあまりにも当たり前だったのです。また、お腹が空いていなくても「食事の時間が来たら食事をする」というのがあまりにも当たり前だったのです。

「お腹が空いたら何か食べる」とか「食事の時間が来たら食事をする」という常識が間違っているわけではありません。もちろんそれで普通は何の問題もないのです。しかしそれは単なる習慣に過ぎず、ただの思い込みに過ぎません。

座禅断食会に参加した今の自分にとって、そんなものは常識でも何でもありません。お腹が空いたからといって何か食べなければいけないわけではないし、まして食事の時間が来たというだけで食べなければいけない所以はありません。食べなくても平気だし、食べても平気なのです。食べることや食べないことについて自由 になっているのです。

これは想像した以上の心身の変化でした。本当に自由です。

私たちは世間の常識に無意識にとらわれています。これが正しい、これは正しくないということを暗黙に規定する見えないルールに縛られています。

座禅断食という、明らかに非常識な極限状態を人工的に設定することによって、世間の常識や目に見えないルールから解き放たれ、身体の自然な欲求に耳を澄ますことが初めて可能になったのです。

欠乏状態や極限状況を体験することから、自分の限界を知り、新たな発展や成長の可能性を探ることができる」というばかりで ありません。成長や発展を促すより以前に、新たな参照ポイントを持つこと自体が、それだけで意味を持つのです。

座禅断食会は「心身の浄化」という大きな目的を果たすだけではなく、生きる体験の幅を広げ、自分の中に新たな参照ポイントを創出するという精神的・心理的なお土産を持ってきてくれました。

この機会を紹介してくれた枝廣淳子さんに感謝したいと思います。