【ジャンゴのちょっといい話:田岡純一】ASTDレポートその2〜(ブラウン氏とワイズマン氏の講演から)

今回は前回ご紹介したASTD報告の第2弾として3回行われた基調講演の残り2つの内容
をご紹介いたします。

<基調講演-1>
前回の記事をご覧下さい。

<基調講演-2>
基調講演の二人目として登壇したのは、ジョン・シーリー・ブラウン(John Seely
Brown)氏英文プロフィールはこちら
なぜITは社会を変えないのか」「PULLの哲学」等の著書としても有名。

ラディカル・イノベーション・マネジメント及びテクノロジーとラーニングの融合の分野で活躍してきた氏が、21世紀のデジタル社会によって生み出された加速度的な変化の中で、いかにラーニングをしていくかの具体例として起業家的ラーニングのアプローチが紹介された。

■21世紀型の変化
・20世紀型においては、ある程度予測可能な状況の中でいかに合理化、効率化、仕組化するかがビジネスの中で求められてきた。この時代においてはナレッジやノウハウをストックし活用することで大きな成果が得られた。
・21世紀においては、デジタル化によってこの変化が加速度的に早められた。この状況においてはナレッジはすぐに陳腐化する。知識をストックするのではなく、最新の知識、情報を創造する流れにのるかがカギとなってきている。

■起業家的ラーニング・アプローチ
・上記のようなビジネス環境におけるラーニングのアプローチとして、起業家的ラーニング・アプローチを紹介。起業家は時代の流れを読み取り、コンテクストを汲み取りながら、実際に行動をしながら学んでいく特徴があると述べ、具体的なアプローチとして次の4つを紹介。
①Questing:本質を探究しようとする
②Connecting:内外にネットワークを構築しようとする
③Reflecting:内省を促そうとする
④Playing:遊び心をもってさまざまな可能性を模索しようとする

※ 特にPlayingの重要性を強調。モンテソーリの学習も事例にだしながら、イマジネーション高く、無限の可能性を探求しながら試行錯誤し、変化を起こしていくためにはPLAYは大切。

※ 時代の潮流を掴むアプローチとしてリバースメンタリングを紹介。
・ミレニアル世代の社員から、先輩社員に対してフィードバックをもらう。
・ミレニアル世代の思考、行動習慣を理解しリーダーシップ発揮に活かす。

講演の最後に、「20世紀は組織が個人を作ってきたが、21世紀は個人が組織を作っていく時代。人間が内在的に持っている起業家的精神に火をつけ、彼らのイマジネーションが引き出される(PULL)環境を創っていくことがCLOには求められる」というメッセージで講演を締めくくった。

<基調講演-3>
ASTD最終日の基調講演で登壇したのは、リズ ワイズマン(Liz Wiseman)氏。英文プロフィールはこちら
彼女は現在Adobe, Apple, Campbell‘s, Gap, Kellogg’s, Nike, Oracle, PayPal, PepsiCo, Salesforce.com, SAP, Twitterなどの顧客をもち、リーダーシップ開発支援を行うリズ・ワイズマングループの会長。過去は、オラクルにおいてオラクルユニバーシティのVice President 。
著書「Multipliers」に基づいた、現在必要なリーダーのあり方に関する講演であった。

■ Genius or Genius Maker
現在の変化も競争も激しい社会においては、成果をあげるためにますます高いインテリジェンスが求められる。
もはや、一人のGenius(天才)に頼るのではなく、如何に自分の周りに天才を作るか(Genius Maker)が重要になっている。
それを実現する効果的なリーダーの概念が、周囲のインテリジェンスに働きかけ、増幅していく「 Multipliers(マルチプライヤー)」というものである。
その反対の存在を「Diminisher(ディミニシャー)」という。

これまでの調査結果では、MultipliersとDiminisherが周囲のインテリジェンスをどの程度引き出しているかを比較すると、Multipliersの方がDiminisherの2倍程度、周囲のインテリジェンスを引き出しているという。では、この二つは何が違うのであろうか?
MultipliersとDiminisherの主な行動を比較すると、以下のように整理できる。

astd

「Genius Maker となってより高い成果をあげるためにも、是非上記のような行動を心がけてほしい。現状のポジションから、一歩踏み出す(Shift weight)ための勇気が大切である」として講演を締めくくった。

<総評>
3回の基調講演を通して感じた強いメッセージは、「一人ひとりが持つ才能を見つけ輝かせるために、どんなマインドを持ち、どう行動していくかが問われている」ということ。皆それぞれに素晴らしい才能を持って生まれている(Element)。それを見つけ活用するにはPUSH型の教育からPULL型への転換が必要。その具体例としてマルチプライヤーが紹介されるといった流れで基調講演が構成されていた印象です。
急激な変換は難しいかもしれませんが、日々の人に接する際には、無限の可能性を持った存在であることを信じるとか優れた点にフォーカスをあててみるといった工夫は十分できるし、私自身の研修スタイルもPULL型のアプローチをもっと増やしてみようと思いました。(ジャンゴことPFCプロフェッショナル・アソシエイト:田岡純一)