目指せグローバル才女!薫子の「飛んだ人生」〜育児のやり方と国の文化の関係について

アメリカで子育てを始めて、8ヶ月が経った。

「ワーキングマザー」という新しいアイデンティティにも慣れてきて、慌しいながらも、仕事と育児(そして時々、家事と夫の世話)を何とか両立させている今日この頃である。

アメリカで育児をしていると、国の文化が育児のやりかたに影響を与え、育児のやりかたが国の文化をさらに強化するという相互関係がよく見えてくる。

アメリカと日本の文化を比較すると、一般的にアメリカのほうが個人・独立指向が強い。アイデンティティの主体は「個人」で、自立していることに価値があり、独立した行動やイニシアチブを発揮することがよいとされる。一方、日本は集団・相互依存の指向が強く、グループの調和と協力を重んじ、アイデンティティの主体は帰属するグループにある。

この文化の違いがよく現れている一例が、赤ちゃんの就寝スタイルである。

日本はいわゆる「川の字」スタイルで、お父さん、お母さん、赤ちゃんが一緒の部屋で並んで寝る。少なくとも、お母さんは赤ちゃんに添い寝するのが一般的である。一方、アメリカでは、「Nursery room」といって赤ちゃん用の個室を用意し、ベビーベッドに赤ちゃんを1人で寝かせることを薦められる。息子が4ヶ月に入った頃、「親と同じ部屋で一緒に寝たらいけないんでしょうか?」と担当小児科医に聞いてみたら、「赤ちゃんといえども、1人の個人なのだから、ちゃんと個室を用意してあげなさい。赤ちゃんと両親がそれぞれ良質な睡眠を得るためにも、別室で寝たほうがよい」と言われて驚いた記憶がある。別室で1人で寝かせられる赤ちゃんは当然泣くわけだが、いったんベッドに赤ちゃんを寝せた後は部屋を出て、赤ちゃんがどんなに泣き叫んでも心を鬼 にして、絶対に部屋に入って抱き上げたりしてはいけない。いわゆる、赤ちゃんが泣くだけ泣かせる「Crying out method」を取る。この方法によると、1人で寝かせられる赤ちゃんは初日は20分くらい泣くのだが、2日目は10分、3日目は5分とだんだん短くなり、数日のうちに1人で寝ることを覚え、ぐっすり寝るようになるそうだ。一方、赤ちゃんが泣き叫んだときに部屋に入って抱き上げたりすると、「泣き叫べば親が来てくれる」ということを赤ちゃんが覚え、夜泣きの原因になるそうだ。このCrying out method、初日に息子の泣き叫ぶ声を20分近く聞き続けるのは辛かったが、確かに泣く時間はどんどん短くなり、3日後にはベッドに寝かせたらすぐに熟睡し、7-8時間はぶっ続けで寝るようになった。

赤ちゃんといえども1人の個人だから個室を用意し、1人で寝かせる、という考え方は、まさに個人・独立指向の現われであり、また生まれて間もない頃からこのように育てられた人間は、当然、個人・独立指向が強くなるだろう。まず、自分という個があり、その周りに家族がいるイメージだ。一方、家族と一緒に川の字で寝るのは集団・相互依存指向の現われで、この指向は、毎日家族と同じ部屋で一緒に過ごして、川の字で寝ることでさらに強くなるといえる。まず帰属するグループとしての家族があって、家族の中に自分がいるというイメージだ。

私の息子は日本人とアメリカ人のハーフである。ちなみに、英語では「ハーフ」という表現はせず、Biculturalという。Bicultural、Bilingualの両親の元に育つ息子は、日本とアメリカの文化をそれぞれどのように融合していくのだろうか。異文化ビジネススキルを専門に教えている私としては、非常に興味があるテーマである。

育児に関する考え方と国の文化の関係については、息子を育てる日々の中で、常に興味深く感じているところなので、これからのコラムでも随時紹介していきます。