【田岡純一】ジャンゴのちょっといい話~ASTD2012@デンバー(1)Heidi Grant Halvorsonのキーノートスピーチ

今回から数回に分けて5月6日~9日まで米国のデンバーで開催されたASTD2012(American Society for Training & Development)に参加して得られた学びや気づきを紹介したいと思います。

第一回目はHeidi Grant Halvorsonのキーノートスピーチの内容をご紹介します。

彼女は社会心理学者、教育コンサルタント、リーハイ大学心理学助教授でもあり動機付けやアチーブ
メント(目的意識)の第一人者としても有名です。

彼女は講演の中で、これまでの心理学研究の蓄積と彼女独自の研究成果から、成功する人、つまり目標達成する人というのは、そうでない人と何が違うのかが解き明かしていきました。

私たちはつい、そういう人は意思の力が強いから、あるいは生まれ持って何らかの才能があるから、
と考えがちであるがそうではない。そのような考えを持つこと自体が、自分の中に限界を作り出し自分自身に制約を課すストーリーテリングをしている。

■目標達成は(1)戦略・計画と(2)実行の2つのフェーズから成る。(1)と(2)の間に意図のギャップがあると、失敗が起こりやすくなる。

まずは(1)の戦略フェーズでのマインドセットが重要。マインドセットには、(A)Be goodマインドセットと、(B)Get betterマインドセットの2種類がある。Be goodマインドセットは、優秀であろう、能力を証明しよう、自分のスキルを検証することを重視する考え方である。

他方、(B)Get betterマインドセットは、自分は改善している、スキルが向上していること、よりよい成果が出ていることを重視する志向性である。

おもしろいことに、2つのグループを比較すると、Be goodマインドセットの人々はネガティブフィードバックを受けると感情的に傷つきやすく、ロールモデルがいない方が自信を感じやすく、ロールモデルがいると自分と比較してプレッシャーを感じる傾向にある。他方、Get betterマインドセットの人たちは、ネガティブフィードバックに傷つきはするもののここから奮起し、ロールモデルがいることによって自分に自信を持ちやすい。また、障害のある環境では、Get betterマインドセットの人の方がパフォーマンスを上げることがわかっている。

  • Get betterタイプの人たには、次のような特徴も見られる。
  • 好奇心が強く楽しさを求める
  • 深く考える
  • クリエイティビティがある
  • 粘り強い

ではマインドセットをGet betterに変えるにはどうすればよいか?思考の枠組みを変えるべくフィードバックを提供すること、そして何よりも「失敗してもよい」という環境を作ることだ。成長をよしとする組織風土、「来年はもっとよくなろう!」というような職場風土を作っていくことが大切。

次に、実行フェーズにおけるカギは何か?実行フェーズでの最大の落とし穴は、具体的なアクションを
洗い出さずにいることだ。そうなると、「時間がなくてできなかった」というふうに、実行の機会を逸してしまう。
こうならないためには、やるべきことと実行の機会を結び付けておくことがカギで、これには、If-thenプランニングをおすすめする。

■If-thenプランニングとは、What+When+Where(何を、いつ、どこでやる)を計画しておくことで、たとえば「メールを読んで腹が立ったときは、20分経ってから返信する」と決めておくことだ。
実験結果から、これを決めておくと実行が2倍に増えることが証明されている。何が起きているかというと、行動に機会を条件づけておくと、そういう機会に遭遇したときに脳が反応する。「実行の機会」が脳によってサーチされアクセシブルになる、というわけだ。いったん機会が検出されると、自動的に行動が発動される。

  • If-thenプランニングには次のような効果もある。
  • 誘惑に打ち勝つことができる
  • 悪癖を改善できる
  • イライラや注意力散漫といった、気持ちの起伏に対処できる
  • 自信喪失にも対処できる

目標達成のために、成功した暁の姿をビジョニングすることもよいが、彼女が勧めるように、まずは
Get betterマインドのもとに、具体的なアクションをIf-thenで考えておくというアプローチにもトライ
してみてはいかがでしょうか。