目指せグローバル才女!薫子の「飛んだ人生」結婚したい、したくない?

皆様、こんにちは。薫子です。 
先日、猛暑の日本から肌寒いサンフランシスコに戻りました。Mark Twainが「The coldest winter I ever spent was the summer in San Francisco.」と言ったそうですが、私は今フリースジャケットを着てこのコラムを書いています。
 
今回は「結婚観」についての日米比較をしたいと思います。ただ、これは膨大なリサーチに基づく客観的な分析ではなく、私の限られた経験に基づく主観的な考察ですので、あしからず。。。 
<奥さんがいるのは当たり前?>
日本に滞在中、ある日本人講師が英語で行う研修をオブザーブしてフィードバックする仕事を頼まれました。
彼は自分を紹介するスライドで「Family: Three daughters」と説明しました。そのとき「あれ、奥さんはいないのかしら?」と思ったのですが、休憩時間に彼が奥さんの話をしたので、「自己紹介のときにThree daughtersとだけ書いてあったので、シングルファーザーなのかと思いました」と伝えました。そうしたら彼は驚いた顔で「奥さんがいるのは当たり前だと思ったので書かなかったんです。考えたこともありませんでした」と言うので、今度は私が驚いてしまいました。 
彼は恐らく40代後半から50代前半で、日本の大企業に勤めていた男性なので、そういう人にとっては、敢えて触れる必要がないほど「奥さんはいるのが当たり前」なんだなぁと改めて感心しました。 
<負け犬の遠吠え>
以前、日本で「負け犬の遠吠え」という本がベストセラーになりました。この本によると30代独身女性は「負け犬」と見なされます。負け犬にならないようにするためには「婚活」に励まなくてはなりません。「就活」の次は「婚活」。恋愛相手を探す「恋活」というのもあるそうですが、結婚につながらない恋愛は時間の無駄ということで、今や「恋活」はすっ飛ばして、一気に「婚活」に突き進む人が多いそうです。そして結婚した後は「妊活」(妊娠活動)。この「XX活」という言葉は、いわばプロジェクトワーク。明確な目標を立て、期限を設定して、目標達成のためにまい進する活動のことを言います。
 
私は就活の後は「恋活」も「婚活」もすっ飛ばして「自分探し活」、「転活」(転職活動)、「留活」(留学準備と留学)にいそしんでいたため、気付いたら30代独身女性になっておりました。自分の能力を存分に発揮できるやりがいのある仕事ができるので幸せだと思っていたのですが、私が独身であることを知った知人や受講生から「まずいじゃないですか、急がないと」などと言われることが続き「仕事にいそしんでいる場合じゃない。私も婚活しなきゃ取り残される」と不安に駆られる時期がありました。あのときに取り残されるのが怖かったものは「まともな大人は結婚して子供を育てるもの」(=いい年して結婚していない大人はまともでない)という日本社会の風潮です。 
<文化が結婚観に与える影響>
日本社会の風潮と書きましたが、この風潮は特に日本で強く見られるものの、アメリカにもあります。特に中西部や南部など保守的な地域の小さな町や村では20代前半で多くの人が結婚して子供を産み育てるので、独身者はコミュニティから外れ、大都市に引越す人が多いそうです。中でもサンフランシスコは「結婚して子供を産む」という枠から外れた(外れたい)人が全米各地から集まってくる吹き溜まりです。週末にハイキング同好会に参加すると、全米各地からサンフランシスコに移り住んできた独身の人ばかり。詳しくは聞きませんが、一度も結婚したことがない人だけでなく、離婚してシングルになった人も多いことでしょう(何せ、離婚率60%の国ですから)。彼らは友達やパートナーは欲しくても結婚する気はありません。独身生活を満喫しています。 
日本とサンフランシスコを毎月往復する生活を送っている私は、日本にいると「婚活しなきゃ」と焦り、サンフランシスコにいると「独身生活を満喫しよう」と思い、毎月揺れ動いておりました。自分がいる場所によってこれだけ考えが揺れ動くというのは、すなわち、私が「こうあるべき」と考えることは、実は自分本来の考えではなく、周りの環境・文化を反映している考えだということです。その社会、その「場」が形成する文化が、そこに属する個人の考え方や行動に大きな影響を与えているのです。そして、その個人はそのことに気付かず、「これは自分の考えだ」と思っていることが多いのではないでしょうか。 
<なぜ結婚しないの?>
7年ほど前、バークレーのビジネススクールに留学している頃、デンマーク人のクラスメートに「なぜ結婚しないの?」と聞いたことがあります。彼女はイギリス人の彼と10年近く付き合っていて一緒に住んでいます。彼女は「たとえ彼がプロポーズしても結婚する気はない」と断言しました。結婚しているから一緒にいるのではなく、日々、この瞬間に「一緒にいたいから一緒にいる」と感じたいからだそうです。
これを聞いた私は「???」。何て変わった考え方をする人だろうと思いました。イギリス人の彼は結婚したがっているのだから、そんな理屈をこねないでさっさと結婚すればいいのに。 
ところが、彼女の考えは特殊ではありませんでした。恋人と10年以上同棲しているアメリカ人の同僚に、「なぜ結婚しないの?」とたずねたとき、同じ答えが返ってきたのです。「I choose to be with him because I want to, not because of marriage」。やはり、「毎日、一緒にいたいという自分の意思に基づいて一緒にいる」ことが大切であり、その純粋性を維持するためにも結婚はしたくない、と言うのです。今度は私も引き下がらず、「でも、彼が若い女性に惹かれたらどうするの?結婚していれば浮気の抑止になるんじゃない?」と聞いてみたら、「彼が若い女性に惹かれて、彼女と付き合うことを選ぶのなら、彼の意思を尊重する。そういう人を結婚という制度で引き止めるほうが双方不幸になる」と言いました。なるほど。。。 
一方、結婚したばかりの韓国人の友人に「結婚する前と後で何が変わった?」と聞いてみたら、「結婚した後のほうがずっと安心感が増した」という返事が来ました。 
文化を個人/独立 vs 集団/相互依存 という軸で見ると、デンマークやアメリカは相対的に「個人/独立」の傾向が強く、日本や韓国は「集団/相互依存」の傾向が強く出ます。個人の独立した意思を尊重するデンマークやアメリカの文化、集団に属することで安心感を得る韓国の文化が、上記のコメントに反映されているように感じました。 
<さて、私は?>
以前は韓国人の友人に近い考え方を持っていましたが、最近は結婚という制度に縛られない関係もいいかなと思っています。サンフランシスコでの生活が長くなるにつれ、個人/独立的な文化に染まりつつあるのかもしれません。いずれにしても、自分が「こうありたい」と考えていることが、本当に自分の心からの声なのか、社会の風潮から来る声なのかを見極めて、自分の心からの声に従って行動したいと思います。