【目指せグローバル才女!薫子の「飛んだ人生」】上司が誤ったデータに基づいたプレゼンをしている。。。。

上司が誤ったデータに基づいたプレゼンをしている。。。。こんなとき、あなたならどうしますか?
皆様、こんにちは。薫子です。5月下旬から一ヶ月日本に滞在して、20日間連続で研修実施という(自分にとっての)金字塔を打ち立てて、サンフランシスコに戻ってきました。もうヘトヘトです。。。私が行う研修は、異文化コミュニケーション、グローバルビジネススキルや「英語で実施してほしい」という依頼によるものが多いので、そういった研修が20日間続くということは、日本においてグローバルビジネススキルに関するニーズが高まっているという表れなのでしょう。ヘトヘトですが喜ばしい現象です。
 
ある米系企業で実施した異文化ビジネススキル研修で、「下記のような状況のとき、あなたならどうしますか」と問いかけてみました。そのときの受講者は日本人、韓国人、アメリカ人でした。彼らの回答を紹介する前に、まず皆さんに考えてもらいましょう。
 
<状況>
あなたとあなたの上司がクライアントとミーティングをしています。あなたの上司はデータの分析結果とその結果に基づく提案をクライアントにプレゼンしている最中です。ところが、上司は古いデータに基づいてプレゼンしていることにあなたは気付きました(これは、新しいデータに差し替えなかった上司のミスです)。新しいデータを使うと、クライアントへの提案内容ががらっと変わり、クライアントにも大きな影響を与えることになります。
 
さて、皆さんだったらどうしますか?日本人、韓国人、アメリカ人の受講者はそれぞれどんな回答をしたと思いますか?
 
まず日本人受講者から、こんな意見が出ました。
 
日本人:そのミーティングでは何も言わない。ミーティング終了後に上司にデータが古いことを伝え、どう対応するかを一緒に考える。次回のミーティング時に、新しいデータが入って、それによると提案が変わることをクライアントに伝える。
 
なるほど、このミーティングでは誰も面子を失うことなく、次回のミーティングでクライアントに正しい情報を伝えることができる方法です。ただ、次回のミーティングというものが存在しない場合、このミーティングのみで決めなければならない場合はどうするのでしょうか?
日本人受講者達は黙ってしまいました。。。
 
すると、韓国人受講者が「私だったらこうします」と言いました。
 
韓国人:上司がプレゼンしている最中に手を挙げてこう言います。
 
「すいません、皆さんに謝らなければならないことがあります。私のミスにより、古いデータに基づく分析結果を上司に出してしまいました。新しいデータに基づくとこういう結果になります。このような間違いをしてしまい、皆さんにご迷惑をおかけして申し訳ございません。」
 
このように自分一人が罪を被れば、上司の面子も立ち、クライアントにもその場で正しい情報を提供できます。当然、上司は私が上司のミスを被ったことを知っていますから、ミーティングの後でディナーをご馳走して、ねぎらってくれるはずです。
 
この発言を聞いてクラス中にどよめきが走りました。日本人は皆「なるほど、そういう方法があったか。自己犠牲の精神が素晴らしい!」と感心していました。ところがアメリカ人達は「自分のミスでもないのに、自分のミスだと言うなんて信じられない」と戸惑い、「これは嘘をついていることになる」「自分は絶対そういう対応はしない」と批判的でもありました。
 
それではアメリカ人だったらどうしますか、と聞いてみると…
 
一般的にはこうするでしょう、という前置きで、こんな返事が来ました。
 
アメリカ人:誰がミスをしたか、責任を負うかには一切触れず、新しいデータが入ったこと、それによると結論はこうなる、ということだけを客観的に伝える。これによって、正しい情報がクライアントに伝わり、誰も面子を失うことはない。上司も新しいデータが提供されたことに感謝し、クライアントはそういう上司のオープンな姿勢を評価する。
 
でも、ここでは終わりません。
 
アメリカ人:もしその上司が自分が気に食わない相手であり、自分がその上司のポジションを狙っているのであれば、こういうことをするかもしれません。。。上司がプレゼンしている最中に私は立ち上がってこう言います。
 
「皆さん、実は、XXさん(上司)がプレゼンしている提案は古いデータによるものなので、根本的に間違っています。私は新しいデータを入手しました。それに基づくと結論はこうなります」
 
そして、自分が新しいデータに基づくプレゼンをします。こうすることで、クライアントの上司に対する信頼は失墜し、クライアントは私と仕事をするようになります。もともと古いデータであることに気付かなかった上司は無能なわけですから、より能力のある私と仕事をしたほうが、クライアントにとってもメリットがあるはずです。
 
この発言を聞いて、クラス中に大きなどよめきが走りました。今度は日本人や韓国人が「信じられない対応だ。。。」「私は絶対そんな対応はしない」と動揺していました。
 
私もこの回答には驚き、後でアメリカ人の友人に、「本当にこんな対応が存在するのか」と聞いてみたところ、「十分あり得る」という話でした。ただ、このケースのようにあからさまに行うのではなくて、もっと巧みに、一見裏切っているとはわからないような方法で相手を引き摺り下ろす人が多いそうです。ですので、いつ寝首をかかれるかわからないという意識を常に持っていて、組織・上司・同僚・部下を本当に信頼することはない、と言っていました。いざというときに彼らは守ってくれない。最後に頼れるのは自分自身のみなのです。これを実によく表しているsayingがアメリカにはあります。
“Blind faith in your leaders, or in anything, will get you killed.”
 
この事例で出てきた対応方法には、「組織・上司は自分を守ってくれる、だから自分も組織・上司のために自己犠牲を払ってもいい」と考える日本人や韓国人と、「組織・上司は自分を守ってくれない。いざとなったとき自分の身は自分で守らなければならない」と考えるアメリカ人の違いが出ていると思いました。
 
ただ、どの対応がよい、悪いという価値判断はできません。
 
日本人の、丸く収めようとする対応だと、結局クライアントに不都合な情報が伝わらないリスクがありますし、韓国人の自己犠牲の対応は美しいですが、クライアントからは「無能な新人だ」というレッテルを貼られてしまうかもしれません。アメリカ人の2番目の対応にはかなり違和感を感じましたが、本当に上司が無能であるならば、確かにその方法も一理あるかもしれません。
グローバルな環境で仕事をする際に大切なことは、どの対応がいいか、悪いかを決めることではなく、同じ状況に対しても、対応の仕方は一つではなくて、その国の文化、企業風土、その人の性格などによって、いろいろな対応があり得ることを知り、ある程度準備をしておくことです。
そして、表面上の行動を自分の価値観に照らして「いい、悪い」と批判するのではなく、なぜ彼らがそういう行動を取るにいたったかという根本的な価値観、ものの考え方を理解することです。相手の根本的な価値観やものの考え方に働きかけることで、相手に効果的に影響力を及ぼすことができます。また、自分だったらどう行動するか、なぜそのような行動を取るか、という自分の軸を明確に持ち、それを相手に説明できるようにしておくことも非常に大切です。そうすることで、思わぬところで「寝首をかかれる」ことを防ぎ、お互いにとってメリットのあるWin-Winの方向に持って行きやすくなることでしょう。