【山田奈緒子】多様化する職場で成果出すリーダーの姿勢こそ重要-ダイバーシティーの意義と定義を考える

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このコラムは、山田奈緒子が日経情報ストラテジー2009年7月号から12号に掲載した記事をリライトしたもので、性別、文化、雇用形態等、様々なダイバーシティについて考察しています。
日本は、女性活用ひとつとっても、ダイバーシティ後進国です。女性がこれほどまでに活躍してないのは先進国の中で日本だけ。先進国以外でも女性の活躍はどんどん進んでおり、日本の国際的な競争力低下にも関わってくる問題です。ダイバーシティ推進は、企業の競争力を高めるだけでなく、少子高齢化の中で国家存続の問題への解決策のひとつにもなりえる切り札なのです。
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1-2 「見えにくい」多様性に注視すべし
ダイバーシティーは、表層的と深層的な側面に分けられる。表層的な多様性とは、目に見えて識別可能な特徴であり、深層的な多様性とは、パーソナリティー、価値観、態度、嗜好、信条といった外部からは識別しにくい特性である。女性、高齢者、身体障害者、外国人といった表層的な多様性を切り口にダイバーシティー推進に取り組むケースが日本企業には多い。
多様性に関する研究によると、チームの立ち上げ時、つまりメンバーがこれから関係を作っていく局面では、表層的なダイバーシティーが成果に影響するが、チームが成熟し、メンバー間の関係が構築されてくると、深層的なダイバーシティーの方が成果に重要な影響を及ぼすという。新しく配属された女性社員を、最初は女性という括りであれこれ心配するが、チームとして仕事経験を重ねると、相手の強みや課題がよく分かってくる。そうなると、女性だからというよりも、そういったパーソナリティーや特徴をもった○○さんとして相手を理解し、コミュニケーションするようになる。あるいは、最初は「中国人」という側面を重視して、文化や言葉の違いに配慮するが、次第に個人として付き合い、認め合うようになる。部門縦断で人材を集め、異なる価値観のぶつかり合いを経験しながら、全社改革の視点を熟成した日産自動車のCFTは深層的な多様化から成果を生み出した典型例といえる。
人間の脳には、グループごとに一般化して記憶する機能が備わっており、表層的なダイバーシティーは自然とステレオタイプにつながりやすい。これが強い固定概念になり、ひいては、差別的な行動につながっていないかが、意識すべきポイントだ。個人を理解し、関係構築の切り口として、両方のダイバーシティーを自由に行き来し、適切に使い分けることのできるマネージャーが、ダイバーシティー・マネジメントに長けているといえよう。