☆『勇気の経営』vol.26 紆余曲折の時代

この記事は、1993年に発行された『勇気の経営』の内容を編集・要約したものです。再編集の経緯はこちらをご覧下さい。
第3章 ベン・アンド・ジェリー
第1節 紆余曲折の時代
ベン・アンド・ジェリーにも紆余曲折の時代があった。企業悪玉説を支持しているような2人が、気がつくと企業を経営していたような状況の中で、1982年、ジェリーが会社を去ったのだ。残されたベンも嫌気がさし、会社を売り払うことも考えていた時に脳裏にひらめいたのが「caring capitalism(心ある資本主義)」のコンセプトだった。ビジネスをやりながら、従業員を幸せにして、社会にも貢献するようなシステムをつくればいいのだ。財団の設立をはじめ、次々と新しい試みに挑戦し、理念を実現していき、数年後にはジェリーも会社に戻ってきた。
その後も会社は急成長を続け、社員数は1年で倍増、利益も伸びていたが、家族経営の雰囲気は失われ、売上のことしか頭にない幹部たち。「利益の最大化に専念し、利益の一部を慈善事業にまわす。社会をその程度しか考えないような会社になるくらいなら、成長など止まってしまえばいい」と、88年、取締役会の承認のもと、二人は会社の成長速度を遅らせる命令を下した。50-60%だった売上伸び率は89年には23%に抑えられた。もう一度、どうあるべきかを考え直す余裕を会社に与えたのである。三つの経営理念が明文化されたのもこの時である。
会社の規模が大きくなると、もはや全社員を巻き込んでビジョンづくりはできない。ベンは、会社の方向付けに自らがリーダーシップを発揮する必要性を痛感した。また、理念が確実に隅々まで浸透し、支持されていることをいつも確認する必要もある。そのためにコンサルタントを雇って社員一人ひとりと面談をさせている。こうした努力の結果、再び会社全体が同じベクトルに向かい、売上、利益とも堅調に増え続け、社会貢献活動は一層活発になった。